「月よりの母」1951年 日本

家族
1951年
監督:阿部豊
出演:夏川静江、上原謙、小林桂樹、久慈あさみ 他

昭和初期、夫を亡くした夏川静江は夫の妾の子を引き取り(!)、自分の娘息子と共に育てることになる。
子どもたちは成長し、世の中は太平洋戦争へ。上原謙は出征。やがて終戦を迎えるが…

夏川静江が最初から最後まで可哀想な映画

衛星劇場にて視聴。

夏川静江に引き取られた妾の子は、兄と姉にちょっといじめられつつも心の優しい青年に成長していく。夫は結構えらい人だったようで(閣下って呼ばれてた気がする)、なかなか良いおうちで暮らしてます。

で、成長した兄は河津清三郎、姉は風見章子、そして妾の子が上原謙。時代は太平洋戦争に突入し、上原謙にも召集令状が。
上原謙は母・夏川静江に得意のバイオリンを聴かせ、翌日出征していく。夏川静江は上原謙のバイオリンをいつも大切に持ちながら、帰りを待ち続ける。

さて。終戦を迎えまして。
夏川静江は息子夫婦とアパートで暮らしてるわけですが、ちょっとお荷物的な扱いをされていて肩身が狭そう。生活が苦しいですからね。息子夫婦の気持ちもわかんなくはないけども。
結局、半ば追い出されるような形で今度は娘夫婦のところへ行くんですが、ここでも邪魔扱いされて(娘のクソ旦那曰く「年寄りが家の中にいると辛気臭い」)また息子夫婦のアパートに戻ったらなんとそこには誰もおらず。なんと母のいぬ間にどこかへ引越したらしい。

…っていう、まあほんと、夏川静江が可哀想なんだ。
女手一つで一生懸命育てた子どもに酷い仕打ちをされている。

生きるために仕事をしなきゃ。
ということで駅の掃除の仕事を始めるも、娘に見つかり「みっともない」となじられ、年が年なので体力が持たず掃除の仕事もクビになる。
フラフラと露頭に迷っているところを、戦前家族ぐるみで付き合いのあった小林桂樹に見つかる。その彼女が久慈あさみ。

小林桂樹は夏川静江も連れて3人で旅館へ。久慈あさみはとっても不満そう。そりゃそうだよいきなり知らないばーさんが付いてきちゃそりゃそうよ。
それにしても小林桂樹の様子がおかしい。人目を気にして、どこかコソコソとしている。実は夏川静江を連れてきたのも、何かから逃げるためのカモフラージュのためだったのだ。
いろいろと察した夏川静江は「あなたにはまだ先があるのだから正直に世渡りしてほしい」と告げ、小林桂樹の元を去る。

結局夏川静江は養老院に入所。養老院って、今で言う老人ホームですね。
これがまたなんつーか、描写の問題なのか、もうほんと人生の墓場か?っつーくらい暗い…
今でこそ明るくワイワイしたイメージがありますけど、あの時代はだいたい子どもたちに面倒見てもらうのが普通だったでしょうから。実際あんな雰囲気だったのかな。
戦争で家族を皆亡くしてひとりぼっちになったお年寄りもたくさんいるでしょうしね。そういう意味でも、あまり明るいところではなかったのかも…
でも入所してる人は皆良い人なんだけど。

夏川静江が養老院に入ったことを知った息子たちは、世間体を気にして皆で責任のなすりつけあい。それなりの家柄であった為に、自分たちの母親が養老院に入ってるなんて知られたら恥ずかしいんだってさ。しかし夏川静江を養老院に追いやったのはおまえたちだろという話。

ある日、養老院に久慈あさみが訪ねてくる。
小林桂樹は夏川静江の言葉で心を入れ替え、警察に自首したことを伝えにきた。が、そこで夏川静江は倒れてしまう。これまでの苦労がたたって、心臓に負担がかかっていたのだ。
そこへついに、やっと!出征していた上原謙が帰ってくる…

上原謙のバイオリンを聴きながら息を引き取る夏川静江。
上原謙は母を蔑ろにした兄と姉を糾弾し、物語は終わる。

 

ちょっとこれ、何が言いたかったのかよくわかんないんだけど…親は大切に、ってことなのか…
最初から最後まで夏川静江が悲痛な顔してて可哀想で観るのが辛くなる。娘息子とその結婚相手も揃って最低だし、結局一番優しくてまともだったのは実の子ではなく妾の子だったという皮肉。
しかし上原謙と楽器の組み合わせはね、どんな楽器でもサマになるから良いよね。

夏川静江はこの時42歳。
昔の俳優さんは老け役上手い人が多いなぁ。