『東京行進曲』1929年

 

1929年
監督:溝口健二
出演:夏川静江、一木礼二、小杉勇 他

貧乏のために芸妓になった夏川静江をめぐる三角関係のおはなし…なのですが、現存するフィルムは30分版。元は141分なので展開が早い早い(笑) あっという間に終わっちゃってジェットコースターにでも乗ってるような気分でした。
クレジットに入江たか子の名前もあるけど、出てこないしね。出てこないというか、その部分がまるっと消失しちゃってる。そこは残念ですけど、短縮版でもこうしてひとつの作品として見れるだけでありがたいことです。

で、これサイレントなんですけど開始とともに音楽が流れ始めて、あれっ?と思ったら活弁トーキー版というものでした。今までサイレントは無音状態でしか観たことなかったんでこれは新鮮!これが活弁というものなのか…!

友人とテニスをしていた一木礼二。テニスボールがフェンスを越えて、道下の家の方へ転がってしまう。そのボールを拾ったのが夏川静江。ボールを返そうと一生懸命投げる夏川静江ですが、そのボールはフェンスを越えない。何度もボールを投げる夏川静江の健気な姿に惚れた一木礼二は、その日の日記に夏川静江への想いをしたためます。
一木礼二は芸妓みたいな華やかな女性よりも、貧乏だけど一生懸命生きてる一輪の花みたいな女性が好きとかなんとか、夏川静江をその貧乏から救ってやりたいだとか小間使いにしてやってもいいとか日記に書いてるんだけど、夏川静江はその後姿を消してしまう。

友人の小杉勇が務める会社に就職した一木礼二は歓迎会を開いてもらい、そこで芸妓になった夏川静江と再会!一木礼二は芸妓とか嫌いなので大ショック。

そこからはやっぱり夏川静江に惚れた小杉勇とか、夏川静江を狙っていた一木礼二のオヤジが実は夏川静江の○○○だった!ということは一木礼二と夏川静江は○○!みたいなことが10分かそこらの間に猛スピードで展開。
最後は結局一木礼二が身を引くことになるわけですけど、これ夏川静江の方はひたすら振り回されてるだけというか。夏川静江の気持ちはどうなんだ、っていう…
短縮されてるせいかもしれませんけど、ほんとお人形がそこにいるみたいな風になっちゃってね、モヤっとしました。

そういうわけで小杉勇は脇役なんですけど、しかし誰が一番印象に残るかって、メインの一木礼二よりも小杉勇なのです。小杉勇といったら太っちょのおじさん…っていうイメージしかなかったんですけど、若い頃の小杉勇、普通にかっこいいぞ。色気もあって…あの色気はなんだろうなあ。前髪パラっと落ちてる時なんて、色っぽいんですよね。

しかしね、一木礼二もこれといった魅力がなくて惚れる要素がないし、かと言って小杉勇のキャラもちょっとな…夏川静江が一木礼二からプレゼントされた物を手にとってバキッとへし折ったのには本当にびっくりした(笑)

夏川静江はもう少し年取ってからのほうがキレイかなあと思った。メイクのせいもあるかもしれないけど。
そんで入江たか子は一体どういう役なのか観てみたかった…

DVDは『瀧の白糸』とセットになって出ています。