「早春物語」1985年 日本

ラブストーリー
1985年
監督:澤井信一郎
出演:原田知世、林隆三、田中邦衛、由紀さおり

17歳の高校生、瞳(原田知世)は偶然出会った中年サラリーマンにちょっとした恋心を抱く。
しかしその男は、自分の母親の昔の恋人だった・・・

恋してたのは原田知世ではなく林隆三だったのかもしれない

観る世代を選ぶ映画だと思う。
80年代の角川映画は・・・演技にしろ台詞にしろ全体の雰囲気にしろ、今観ると結構赤面な感じがありまして。この映画も初見は高校の頃でしたが、今見ても赤面過ぎて所々笑ってしまった。
でも嫌いじゃないんですこうゆうの。
しかし原田知世は今も昔も可愛いね。

42歳のオヤジ×17歳の小娘という、おっさん好きならば無視できぬ設定(私だけかもしれんが)
しかも42歳のオヤジが林隆三だよきましたねこれはー…

この頃の林隆三は渋過ぎて最強。酒とタバコが似合う!声が渋過ぎる!このやさぐれ感!かっこよ過ぎて目眩が…
しかし当時の知世ファンはさぞショッキングだったに違いない。相手がおっさんだわちゅーシーンまであるわで。
私からしたら知世が羨ましくてしょうがなかったですけどね。

とにかく知世のぶっちぎりな行動力にはド肝を抜かれた。
名字しかわからない林隆三を探して会社まで押しかけ会社のパーティーに参加(会って二度目で誘う林隆三もどうかと思うが)。会いたい力はそれだけ人を大胆に動かしてしまうわけですな。

林隆三が亡くなった母親の恋人とわかってからのヒステリックぶりもなかなかのもので、偶然会ってそのまま箱根へ直行、ホテルの前で林隆三を待ち伏せして女とエレベーターに乗った林隆三をおっかけてなんと自分もエレベーターに乗り込む(!)。すごい勇気だ。

散々抱けと騒いだ挙句いざとなったら拒否。
拒否したくせに帰りに送ってもらう途中ホテル街を通りかかるとホテルに入れとわめき散らし運転の邪魔をして事故らせるという大暴走。

知世の棒読み演技も相まって事故シーンはかなり笑った。
ここまでくるとこの行動力を見習いたくなります。

知世は終始棒読み気味でぎこちなくて危なっかしいんですが、この映画ではそれはそれで良かったと思う。
子供(と言っても高校生だけど)が同級生に感化されて、42歳の大人の男と対等に向き合おうとして必死で背伸びをする、そのちょっと無理ある感のキャラにうまい事合ってるんですよね。

事故の後で『これ、恋だと思う』と言っているけども、果たしてどうだったのか。

最初こそ恋に恋してる感丸出しなんだけども、ちょっとずつ変化しているようにも見える。
恋愛面で先を行く友人、教師と真剣に恋愛する同級生に影響を受けてただ背伸びしてただけのような感じするし、大人の男に対するただの憧れのようなところもあるし。
相手が母親の恋人だったという部分で、恋愛面とは違ったところで執着している感もある。

こうゆう恋なのか何なのかっていう微妙な気持ちは、結構多くの人が経験してるだろうと思うけど。
でも空港で振り向きもせず別れるシーンと、ラストで友人に堂々と『私は過去のある女になったの』と話しているあたり、林隆三との出会いは確実に彼女を一歩成長させたんだと思う。

主役は危なっかしいが脇が大変堅い。
相手の林隆三はもちろん、父親役は北の国から来た田中邦衛、その再婚相手にトルコ行進曲でおなじみ由紀さおり。角川映画はどれも脇が良い印象なのでその辺は安心です。
探偵物語の優作さんしかり、Wの悲劇の世良公則も思いのほかとても良かったもん。
相手役のチョイスが素晴らしいわ。
チョイ役で小林稔侍が出てた。若くてびっくり。

惜しいなーと思ったのは、これは大人の男目線から観ても面白い映画にできたのになあと。
42歳で独身、会社では上司にジワジワ圧力をかけられて海外へ飛ばされようとしている侘しいサラリーマン。

知世目線では『大人の男!』って感じで美化されてるように見えるけど。
実はどこにでもいそうな、ちょっと寂しいサラリーマンです。

ていうかそうゆう設定だから林隆三をキャスティングしたんだろそうだろう?
似合うもんなこうゆう役。

そんなおっさんの目の前にあんな暴走娘がいきなり突撃してきたわけで、しかもそれが昔の恋人の娘だったってのは、ある意味事故級の衝撃で相当な心の揺れがあったであろうと。
空港で知世の姿を見つけて慌ててエスカレーターを逆走する姿でなんとなくわかるけども、林隆三の方はしっかり知世に惹かれてたんだろうと思うのです。ここ重要。
その辺もっと深く描いてくれたら、すっごく良かったのになあ、勿体ないなあと。

アイドル映画ですから、知世の心理描写に集中してしまうのは仕方ない。
でも仕方ないで終わらせるには勿体ないよなあ。
勿体ないと思えるって事は、終始赤面させられる場面連発でありながらも良い映画なんだな、うん。

母親の恋人だったとわかりながらも複雑で何とも言えない、揺れまくる感情はひしひしと伝わってきた。
自分がこの立場だったらどうなるだろうなあ、と。

しかしこの頃の林隆三はほんとかっこいいよ。
こんなおやじが身近にいたら私は知世以上に暴走すると思う。