「再会」1953年 日本





1953年
監督:木村恵吾
出演:久我美子、森雅之、三國連太郎、木村美津子 他

桜が咲く日比谷公園の音楽堂で知り合った久我美子と森雅之は互いに惹かれあうが、やがて戦火(と、三國連太郎)の波にのまれ離れ離れになってしまう。
やがて終戦を迎えるが…

二部構成で、上映時間は約2時間。
シネマヴェーラ渋谷にて鑑賞。

森雅之と久我美子がひたすら美しい映画

まず出会いからして素晴らしい。
桜が満開の音楽堂。久我美子が置いた手袋の上に座っちゃう森雅之。困惑しながら森雅之をチラ見する久我美子と、その視線に勘違いしつつ(笑)久我美子をチラ見する森雅之。
セリフのない、視線だけのやりとりが秀逸。そして待っているのは可愛らしいオチ。最高。

というわけで、美しい森雅之をスクリーンで観たい一心で足を運びまして。
正直話はつまんなくてもいいやっていう程度の期待値でしたが、出来の良い正統派メロドラマって感じでおもしろい作品でした。
しかしこれって二部構成にする必要あったのかしら。実はもっと長い話で、削って削って2時間モノになったってことだろうか。

音楽が好きで毎週土曜日の音楽堂のコンサートに通う久我美子と、どことなく抜けてる感のある(だけどやっぱり色気はある)森雅之のロマンスがメインで、このふたりが素晴らしく美しいのはもちろんのこと。
二人を引き離すためなら手段を選ばないゲス憲兵に三國連太郎、モリマに振られてショックを受けつつ久我ちゃんのために機転を利かせる素敵なお友達に木村美津子、連太郎のパシリだけど実は男気溢れる伊藤雄之助、久我ちゃんの貞操を奪う金貸しゲス男に菅井一郎という、濃くも素晴らしい面々が脇を固めています。

第一部はモリマと久我美子の出会い〜終戦までを描いていますが、実は第一部の主役はある意味三國連太郎で、ほとんど連太郎劇場と言っても過言ではないほどの存在感を発揮。ド派手に職権を濫用しながらあの手この手部下の手を使いこれでもかってくらいにふたりの邪魔をしている。
まさか第二部に入る前に消えることになるとは…

連太郎劇場の効果か、第一部はメロドラマでありながらサスペンス的なスリルも満点。
モリマに会えるかどうかギリギリのところでタクシーぶっとばす久我ちゃん(美津子ありがとう!ありがとう!)、モリマの軍隊脱走劇、連絡船でのすれ違いと、ハラハラドキドキが止まりません。
列車に乗るモリマの膝に飛んできた手袋については色々突っ込みたいところもありますが、これはメロドラマの魔法ってことでいいですかね。
この列車のシーンさ、モリマが久我ちゃんに気付く前と後で、周りのガヤガヤ音の使い方が変わるんだよね。出会ってからは、ほとんど二人の声しか聞こえない。雑音の中に紛れた状態からふたりの世界に入ったことを音で表してるところもすごく良かった。

連太郎不在となった第二部からはスリル要素が抜けてしまって面白さ的には第一部より劣るものの、優しくておとぼけな伊藤雄之助にちょっと癒やされたり、連太郎の代わりにやらしい金貸しゲス男が登場したり、ふたりの再会後の切なさもあって最後まで楽しく観れました。
2時間、長いかなあと思ってたけど全然そんなことなかったよ。

桜が咲いた音楽堂のシーンはどれもほんとに桜がきれいで美しい。
出会ったその日に音楽堂で空襲に遭い、ベンチの前に伏せるふたりの頭の上にハラハラと落ちてくる桜の花びらさえ美しかった。

閉鎖当日のダンスホールで踊るふたりと、再会後に箱根(箱根だったっけ)で踊るふたりの切なさと美しさも素晴らしい。
この映画の森雅之は久我ちゃん以外の女にフラフラすることもなく、一途で優しくてキラキラしてるっていう彼にしてはちょっと珍しい役どころで(笑)既に中年に差しかかる年で見た目もちょっとおじさん入ってきてるのに青年感が半端ない。この役って何歳の設定だったんだろうか。
とにかく、あの森雅之が普通に恋愛してるってだけでも個人的には大変価値ある作品です。

極めつけは、夜桜舞う音楽堂でのラスト。
桜の木の下で久我ちゃんを抱きしめるモリマのなんと美しいことか…切なさとか色気とか久我ちゃんを愛おしく想う気持ちがスクリーンから洪水の如く溢れ出て大変なことになってた。そして抱きしめられている久我ちゃんも美しい。
ここまでの道のりや夜桜の美しさも相まって、このラストはちょっと言葉にできない感情が走りました。

桜と共に咲き、桜と共に儚く散った恋。
「あと1日、早く再会できていたら」の言葉。

あんなに可愛かった出会いが、同じ場所でこんな悲劇を迎えるなんてね…
なんか切ないとか美しいとかそればっか言っちゃった気がするけど、とにかくそこに尽きる逸品。
儚いものは、美しいもの。

木村美津子が久我ちゃんにモリマとのお見合いの報告する時に「はぁ、はぁ、しか言わないけどすっごく素敵な人なのー♡」と熱弁している姿には納得しかない。