「女の勲章」1961年 日本

サスペンス
1961年
監督:吉村公三郎
出演:田宮二郎、京マチ子、若尾文子、叶順子、船越英二、森雅之 他

これ、誰一人として好きになれるキャラクターがいないんですがどうしよう…
船越英二がとっても男前で、それがせめてもの救いです。

小さな洋裁教室を営んでいた船場いとはん育ちの京マチ子が田宮二郎とタッグを組んで服飾学校を立ち上げるが、内弟子たちや男運にも恵まれずやがて…というお話。その京マチ子を取り巻く内弟子が若尾文子、叶順子、中村玉緒。これが全員クセ者で、とにかく「したたか」の一言に尽きる。あわよくば自分たちも…というね。
特に中村玉緒はなかなか強烈なインパクトを残します。そしてめちゃくちゃ可愛いのです。マロニーちゃんしてる玉緒しか知らない人には是非若い頃の彼女の姿を見てほしい。

船場ことば早口マシンガン男・田宮二郎は3人のしたたか内弟子衆を利用して事業を拡大させていこうとする。まあ内弟子たちも田宮二郎を利用する気満々なんだからお互い様なんですが。田宮二郎のセリフ回しと下半身のフットワークの軽さが素晴らしいです。清々しいほどの野心溢れるクズ。だけど時折、そのセリフからただの野心家ではない彼の暗い部分が見え隠れする。

そんなハイパークズ男田宮二郎の前に立ちはだかる、毎度おなじみのクズ男・森雅之。
田宮二郎と森雅之のクズ対決もこの映画の見所なんですが、なんせタイプが全く違うクズなので甲乙つけ難い。モリマは大学教授してて、田宮二郎や船越英二は彼の教え子。10年前に妻が若い男と心中して男やもめ。しかしその立ち振る舞いから気品と色気が溢れ出ていて京マチ子もイチコロです。お座敷であぐらかいてメシ食ってるだけでエロいのです。パリでお京さんと抱き合うシーンも表情がエロくて素晴らしいんです。溶けます。

ところがモリマ、京マチ子を救ってくれるのかと思いきやこれまでの彼女と田宮二郎の行いを知るや否や、あっさり手を引いて逃げ出します。おまえはっ!またそんなことしてっ!そんなんだから嫁が若い男のところに行っちまうんだろうがっ!
田宮二郎とお京さんのやり取りを見ている時のモリマの情けない顔よ…そうゆう顔するのほんとうまいね(褒めてる) しかし婚約までしたんだから、せめて金の面倒ぐらいちょっと見てやるのが男ってもんじゃないのかね。金は自分で全部返してそれから田宮二郎と別れろだなんて、酷だよ…

田宮二郎と内弟子、モリマにまで裏切られたお京さんには悲劇が待っている。その時の弟子たちが悲しむ姿の薄っぺらさ、そして一人立ち尽くす田宮二郎のあの姿は…どう受け止めたらいいんだろうなあ。
船越英二が田宮二郎にぶつける最後のセリフが強烈なインパクトを残す。船越英二ほんとかっこよかった。

こうして流れだけ見てるとお京さん可哀想!となるんだけど、実はお京さんにもあまり同情はできない。
彼女だって弟子たちと一緒で、田宮二郎をしっかり利用していたわけですからね。まあ田宮二郎の野心っぷりもさることながら、女たちの内側に秘めたしたたかな図太さは恐ろしいよ。

あんまり好きじゃないんですよね、こうゆう話は…