昭和初期のアイドル映画『婚約三羽烏』

1937年
監督:島津保次郎
出演:佐分利信、佐野周二、上原謙、高峰三枝子、三宅邦子 他

VHSで鑑賞しました。
佐分利信、佐野周二、上原謙の「松竹三羽烏」✕高峰三枝子の軽快なラブコメ。

松竹三羽烏による松竹三羽烏ファンのための映画というか、3人セットで売り出そうという会社の意図がよくわかるというか。
無骨な佐分利信、ぼやーっとしてる佐野周二、育ちのいいぼっちゃんが上原謙と、それぞれの持ち味を活かしたキャラクターが楽しい!名前も下の名前はそのままなんだね。
上原謙は本人同様楽器ができる設定になっていて、劇中でホルンも披露してくれます。上原謙のホルン聴きながらウトウトするとか最高すぎてよ…

 

佐野周二は失業して早半年。
彼女の三宅邦子はしっかり仕事していて「私と一緒にいるから本気で就活できないのでは」と悩む日々。下宿のおばさんは飯田蝶子で、三宅邦子の理解者であり佐野周二のことも心配している。

メイン3人が初めて顔を合わせるのがデパートの面接会場。
この面接のやり方にもそれぞれ個性が出ていて面白い。番号で呼ばれて「今どき番号で人を呼ぶのは刑務所だけ!」と怒り、名前で呼んでもらった途端ニコニコ愛想が良くなる髭面の佐分利信。その後は人権について長々熱弁してたけど私が人事だったらあんなのは絶対嫌だぞ。

上原謙はもう面接を済ませた後でかくし芸を披露してきましたとか言いいながら二人の前でも硬貨を使った芸を披露。その硬貨をうまいこと言ってパクる佐分利信(笑)
さぶりん、真面目なのかと思いきや実は一番厄介者でした。

そして揃って就職した3人の前に、デパートの社長の令嬢・高峰三枝子が現れる。
この高峰三枝子にまた3人揃って一目惚れしちゃうわけですが、本人たちは互いの気持ちは知らず…

 

みんな彼女だったり許嫁だったりがいながらガッツリお嬢さんにうつつを抜かして「おまえら何してんの?」って話ですが、誰も不幸にならないしみんな収まるところに収まっていくのでめでたしめでたしである。

「焼きたてのパンみたいな顔」とか妹に辛辣な上原謙ですがあんなイケメン兄ちゃんはやっぱり羨ましい。この妹とのかけあいが可愛くていいんです。私も上原謙と銀ブラしたいし上原謙の髪の毛わしゃわしゃしたい。
高峰三枝子とのファーストコンタクトもオシャレで最高。コマ落ちしてるのか、高峰三枝子が瞬間移動してるみたいになってるのが残念でならない。

こうしてイケメン3人揃い踏みとなるとやっぱり「あの3人のうち誰がいい?」ってなるのが女子の常。
私は基本上原謙推しですけどね、これに関しては佐野周二がもう可愛くてたまらんのです。
冒頭、間の抜けたBGMをバックにぼやっと外を眺める佐野周二の可愛さ、酔っ払い佐野周二の可愛さを見てほしい!
佐分利信が寝てる布団にゴソゴソ入り出した時は戦慄が走ったけど(笑)そもそもあれ佐野周二の布団だからな…

佐分利信はあの面接でよく受かったよなと思ったらこれは高峰三枝子お嬢様の思惑によるもので、デパートの店員はやっぱイケメンでないといけないからってことで。
しかしこれの佐分利信は接客もできんわ俺様だわ図々しいわでいいとこなしでは?見てる分には楽しいけど実際近くにいたら鬱陶しくてたまらんわ。
上原謙じゃないけどズーズー弁の許嫁には笑ってしまった。

 

イケメンを楽しむだけでなく、かけ合いのテンポの良さ、台詞のセンスの良さにも圧倒されました。観てる間ずっと楽しい!
なんていうかな、この頃の日本映画観るといつも思うけど、雰囲気洒落てる作品が多いなぁって思います。
あの感じって、終戦以降の作品には無いような気がするんですよね。

とにかくお気に入りの1本になりました。松竹傑作選みたいなやつでDVDになればいいのに…
佐野周二の面接中に奥様演技を無茶振りされた挙句ダメ出しを食らう河村黎吉も必見。