泣きっぱなしの田村秋子『受胎』

1948年
監督:渋谷実
出演:田村秋子、宇佐美淳、高峰三枝子、森雅之、東野英治郎 他

田村秋子が女手一つで育てた長男(宇佐美淳)は令嬢と結婚して開業医に。
一方次男モリマは、母の知らぬ間にすっかりやさぐれた大学生(!!)になっていた。
モリマは年上のダンサー村田知栄子と同棲しながら、レビューガールの幾野道子とも付き合い、妊娠させてしまう。

田村秋子が最初から最後まで泣きっぱなしで辛い映画です。
またモリマが無理して学生やってるんですけど(当時37歳だから…)ちょっとこれのスチール写真見てくださいよ。
めちゃくちゃ美しくない?

 

兄の宇佐美淳は産婦人科医で、恩師の令嬢にあたる高峰三枝子と結婚して開業と、順調な人生を歩んでいる。
高峰三枝子も美人のいい奥さんだし、田村秋子は嬉しそう。

そこへひょっこりやってきた出来損ない次男のモリマ。
母の顔も見ず、高峰三枝子とちょちょっと話しただけで帰ってしまう。

心配した田村秋子は次男モリマの暮らすアパートへ出向きますが、そこへちょっと派手目な年上彼女・村田知栄子がやってきたから大変です。モリマは学生でお金もありませんから、村田知栄子の収入をあてにして同棲中なわけです。
…と思ったらそこへもう一人の彼女・幾野道子が来たからもっと大変です(笑)
そう、これのモリマは二股かけるクズ男。幾野道子はあなたの子どもが出来たのよと言ってモリマにまともな生活をしてほしいと懇願しますが、クズいモリマは堕ろせ堕ろせの一点張りでとにかくクズ。
幾野道子、横の髪が邪魔なのかしょっちゅう顔を振っていてすごく気になってしまった。

息子のやさぐれた暮らしぶりを目の当たりにした母は悲しみ、その後もずっとモリマに泣かされっぱなし。
幾野道子が妊娠していることも知り、派手な村田知栄子より純っぽい幾野道子の方を気に入ったし(まあそうですよね)なんとかモリマと村田知栄子を別れさせたい。

そこでどう見ても信用ならなさそうな闇屋の東野英治郎が登場です(←これ似合いすぎてよ)
田村秋子は先祖代々伝わる仏像と引き換えに、モリマと村田知栄子の縁切りを依頼してしまい…

 

長男の宇佐美淳とその嫁である高峰三枝子の影の薄さったらないんですけど、なんとモリマは高峰三枝子のことが好きだったという謎設定が出てきて「はっ?」ってなったし、この設定必要か?
兄にコンプレックスを抱く原因のひとつとしての設定だっていうのはそりゃわかるけども、モリマはここまでそんなそぶりを全く見せないしかなり唐突なせいでその役割を全然果たしてないというか。
高峰三枝子のためにあとから取ってつけたようにしか思えなくて、違和感しかなかった。

モリマは二股してる上にオカンを延々泣かせてるけど本当はいい子で…っていうモリマお得意の役柄。
いろいろ踏み台にして出世した兄を軽蔑してやさぐれていったというその気持ちはわかるし(だからといって二股していいとは言ってない)オカンが売り払った仏像を取り返そうとして悲劇のラストへ突っ走っていく。

この映画のテーマは「母親の愛」ってことだと思うんですけど、それにしても息子とその女を別れさせるために先祖代々伝わる物を怪しい男に売っちゃうというのは、どうなんだろうか。いくら顔なじみとはいえさ。
他力本願というか、お金持ちの発想だよなあ…と思ってしまった貧乏人の私ですが、ほんとに息子のためを想うなら説得して自分でケリをつけさせろよって思っちゃったし、仏像の件を知ったモリマも「自分でケリつける!」って言ってたので根っこはまともなモリマでなんか安心した。←??

怪物くんみたいな帽子かぶったモリマのお友達・殿山泰司がいい味出してました。
村田知栄子はちょっとかわいそうな役回りだったね…