「光る海」1963年 日本

ラブストーリー
1963年
監督:中平康
出演:吉永小百合、浜田光夫、十朱幸代、和泉雅子、高峰三枝子、田中絹代、森雅之 他

原作は石坂洋次郎。
小説家を目指す吉永小百合を中心に、大学の英文学部を卒業した若者たちの姿を、性的なワードをふんだんに盛り込み描いた異色作(?)

喋ってることの意味が全くわからない

すいません、これはちょっと私には合わなかった。
とんでもなく分厚い台本を想像させるほどの膨大な量のセリフを、機関銃のようにババババッと早口でまくしたてる演者たち。とにかくこのセリフがね、あけすけなだけで理屈っぽくて現実味がなくてユーモアも何もあったもんじゃない。その上カメラ据え置きの長回しも多いもんだから、退屈の極み。
もうキツくてキツくて、なんと2日に分けて観るハメに。笑

登場人物も多くてまとまりがなく、それぞれのエピソードもとっ散らかり状態。

整理すると、吉永小百合は浜田光夫が好きで、でも浜田光夫は十朱幸代が好きで(こちらは両想い)、和泉雅子は恋のキューピッドで、小百合のオカン高峰三枝子と十朱幸代の叔父さん・森雅之は親しいけど男女の関係ってわけではなくて、森雅之の嫁は毎度おなじみ田中絹代で、絹代は病気で余命幾ばくもなく、森雅之に高峰三枝子との再婚を薦めて…と、メインエピソードはこんな感じなんですが。

高峰三枝子は小百合が5歳の頃に離婚していて、バーのマダムをしながら女手ひとつで小百合を育てました。で、小百合の父親は誰かと思ったら宮口精二。父と娘の関係は良好です。
この映画はとにかく脇まで芸達者なベテランが揃っていて、兎にも角にもベテランが強い。ベテランの力でなんとか最後まで観れたようなもんです。

小百合たちの友人の結婚式でミヤコ蝶々が登場。
しかし残念なことにダダ滑りしていて(画面の向こうではウケているが)新婦が陣痛始まっててヒーヒー言いながら立ってるのに、倒れるまで誰も手を貸さないというのは一体どうゆうわけなの?

産婦人科医で清水将夫登場。その妻が本物の妻の高野由美。
小百合の家のばあやは飯田蝶子。ラストの飯田蝶子超かわいくて癒されました。ありがとう飯田蝶子。

バーで高峰三枝子とモリマが語り合うシーン、そして高峰三枝子に絹代が自分の気持ちを吐露するシーンはまるで違う映画になってる。この3人は画面にインしているだけで作品の雰囲気を変えてしまうほどの存在感を持ってるんだなっていう、その凄さを改めて思い知らされました。
特に田中絹代の異質っぷりは必見です。出てきた瞬間、明らかに周りとは違う何かを持ってるなってのがわかるもんね。

まあしかし、絹代が家族や小百合たちを集めて自分の病状と今後のことを語るシーンはかなりキツい。何がキツいって、小百合のセリフがさっぱり頭に入ってこないのがキツい。絹代は普通に喋ってるだけなのに(言ってることはめちゃくちゃだが)それをいちいち哲学っぽく変換して小百合が口を挟んでくるのがキツい。笑
何を言ってるんだ…って呆然としてたら絹代はしっかり理解している模様。絹代もなんだか意味不明キャラになってしまっていて本当に残念。

自分の死後、旦那に別の女と結婚しろというのも凄いし(気持ちはわからなくもないけど)それでほんとに結婚しちゃうってのがもうとんでもない話だなって思ってたんだけど、モリマも高峰三枝子も最初はしっかり拒否ってたのでその辺はなんだか安心した。でも結局結婚するんですけどね…

これのモリマはマトモでキレイなモリマ。
品の良さを全面に出し、なんだか肌もツヤツヤしてて美貌が際立ってます。目のうるうるも相変わらず。「帰郷」の時同様、小百合と対面して喋ってる時も無駄にフェロモンを発散しておりまして、これは吉永小百合が後になって「今まで会った中で一番色気があったのは森さん」て言ってくれてるのも頷けます。いやあ、これのモリマは良いモリマでした。その点では大満足なんですけどね…

吉永小百合のこの役はただただ腹立たしかったけども、しかし彼女はおしとやかに耐え忍ぶ役より、こうゆうハツラツとした役の方が合ってるように思いますね。そりゃ年とともに落ち着いていくんでしょうけど、その後は似たような役ばっかりになりますから。私がそうゆうのしか観てないだけかもしれませんが。

結局自分だけが一人ぼっちになったことに気付いて衝動的に泣き崩れるシーンは素晴らしかった。ただ、そこへたどり着くまでに観てるこっちは疲れてしまって、なんだか置いてけぼり食らってるような気持ちにもなってしまってね…

十朱幸代の妹でキューピッド的な役割を果たす和泉雅子。この頃の和泉雅子はほんっとに可愛いぞ!今の姿しか知らない人が見たらびっくりするでしょう。

それにしても「光の海」っていうタイトルも最後まで謎だった。どの辺が光る海なんだろう…って思ってたらラストむりやり海のショットを入れてエンド。
あのハツラツとした若者たちの輝きが光の海ってことなんだろうか。うーん、わからん。