花に始まり花に終わる『花』

1941年
監督:吉村公三郎
出演:田中絹代、上原謙、桑野道子、川崎弘子、笠智衆、飯田蝶子 他

お互いの弟の事故死をきっかけに接近するも、周囲の妨害や自身の頑固さのために結ばれない戦前あるある(?)なメロドラマ。
VHSで鑑賞。

 

田中絹代は崋山流(漢字これで合ってるのかな)の跡取り娘で、父が亡くなってからは岡村文子に養子同然として引き取られている。そういうわけで弟とは血の繋がりはないんだけど、「姉さん」と呼ばれ親しまれています。

その弟が友達と山登りへ出かけたいと言い出したのが全ての始まり。
「山なんて危ないから」と心配した岡村文子に代わって、弟のお友達とやらのお宅へ絹代が出向くことになります。そこにいたのがお友達のお兄ちゃん、上原謙です。
上原謙は歯医者さんでね。上原謙の歯医者さんかぁ…いくらでも通えるわね…

で、上原謙の妹が桑野道子で(なんという美形兄妹)、こちらは絹代のお花の教室の元生徒さんということで和気藹々とした雰囲気に。
絹代は登山慣れしている上原謙が「大丈夫ですよ」と言ってくれたこと、そして上原謙の人柄にも安心して、弟の登山行きをOKする。

しかし案の定、弟たちは遭難し二人とも亡くなるという大事件が勃発。
しかし絹代と上原謙はこの事件をきっかけに行き来が増えて急接近。

しかししかし、お互い息子を亡くした絹代の母親代わりの岡村文子と上原謙の母(吉川満子)はこれを良くは思わず…

 

という、お互い気持ちはありながらも親のことやら自分の立場のことやらでうまくいかないという話なんですが、上原謙も「あの人と結婚します!」っていきなり言い出す威勢の良さがあるなら最後は絹代のとこに行ってやってくれよと思うんですがねぇ。
「あの人を苦しめたくない」って、絹代は今まさに一人ぼっちで苦しいんだぞ。花しか頼るものがなくなって、あの後一人でどうやって生きてくっていうんだよ。

絹代も絹代で、崋山流の跡取りとして立派にやっていきたいっていう気持ちはわかるし、良く言えば当時の女性としては自立してるってことなんだけども、そこのこだわりがすぎるっつーかあまりにも頑固では?結局どちらも幸せになれないし。

上原謙にかけよろうとする絹代を物理的に阻んだのがそこに咲いてる花だったというのも、悲しかった。あれ、上原謙も気付いてるよね…
あそこで「もう僕たちの縁はこれまでなんだ」って上原謙がなっちゃったというなら、それはわかるような気がしました。

この映画はちょっとギクッとする台詞がちょこちょこあって、特に上原謙の「自分が悪いと言えばそれで済むと思ってるのは、逃げてるのと同じこと(意訳)」という言葉は絹代に向けてのものだけど、まるで自分が言われてるかのような気持ちがした。
笠智衆の「辛いことはわかってるんだ、人生なんて」も…

どうせどうしたって人生辛いことのが多いんだから、だったらやるだけやってみた方がいいだろってことっすよ。
これの上原謙に私もそう言いたいし、自分もね、そういう気持ちで生きていけたら、最終的には幸せだったって言えるのかもしれれません。

笠智衆はどう見ても上原謙より年上に見えちゃうんだけど、生真面目で奥手っぽい上原謙とは真逆の軽めタイプで、いいお友達。出番はそんなにないけど好印象でした。
桑野道子と無事結婚できるといいね。

絹代にフラれたからってクソ報復起こす花福のジジイは地獄へ落ちてください。
全部おまえのせいだぞ!