「ガス人間第一号」1960年 日本

SF・特撮
1960年
監督:本多猪四郎
出演:三橋達也、八千草薫、佐多契子、土屋嘉男 他

怪奇SFと思いきや、ガス人間土屋嘉男と超絶美しい日本舞踏の家元・八千草薫の悲恋物語が軸になっているすごい映画。
何故土屋嘉男はガス人間になってしまったのか!?八千草薫との恋の行方は!?三橋達也は土屋嘉男を逮捕できるのか!?

東宝変身シリーズの第3作目。

大人の特撮悲恋メロドラマ

タイトルからしてぶっ飛び特撮を想像してたんですが、意外にしっかりした話でびっくり。先日観た「妖星ゴラス」といい、東宝特撮は侮れません。

特撮物をこれまでほとんど観てこなかった私的には、特撮=子ども向けというイメージがあったんですが、いやいや…大人のドラマなんですよねこれ。しかも暗い。暗いメロドラマ。子どもたちみんな寝ちゃうんじゃないですか。
土屋嘉男がガス化していく様子はチャチなCGが却って気持ち悪さを増大させていてトラウマになりそうです。

とか言ってる私も途中まで眠くて仕方なかったんですが、後半はガス人間土屋嘉男の怪演に釘付けです。ガス人間になってしまった悲しい経緯を語るところから俄然おもしろくなります。眠気も吹っ飛びます。

そう、表向きは三橋達也が主役ですが、本当の主役は土屋嘉男です。やりすぎないイっちゃてる感といい、大好きな八千草薫のためなら犯罪でも何でもやってしまう狂的エゴイストっぷりといい、見事の一言に尽きる。
どこ見てんのかわかんないあの顔は夢にまで出てきそうです。出てこないでほしい。

こんな風に好かれちゃ八千草薫も迷惑だろ、って思ってたら八千草薫も土屋嘉男大好きだからまずここでビックリする。笑
八千草薫は日本舞踏の家元として落ちぶれかけてるところを土屋嘉男の気持ちに救われたわけで、彼がガス人間であろうと犯罪者であろうと、運命を共にすると心に決めているのです。
当然、ふたりがハッピーエンドを迎えられるわけがないのですが…あのー、土屋嘉男があんなにやりたい放題しなけりゃ、違う道もあったと思うんですがね。

ラストはあまりの衝撃に「え!!」と声が出たのちに絶句!
手に何か持ってるなとは思ってたけどあんな壮絶な終わり方をするとは想像もしませんでした。八千草薫も見かけによらず豪快であった。

しかし一番可哀想なのは八千草薫の爺や・左卜全です。八千草薫と共に牢屋にぶち込まれた挙句、ラストはそれこそ運命を共にしてしまったわけで。左卜全もそれを望んでいたのかもしれませんが、完全に巻き込まれてる感があって気の毒でした。