『不死鳥』1947年

 

監督:木下惠介
出演:田中絹代、佐田啓二、小杉勇、山内明 他

これは最高のメロドラマ。
田中絹代と佐田啓二の年齢差が…とか言いたくなるけどそんなことはいいんだよ!

…と、言いたいですがやっぱり気になる年齢差。まあこれはしょうがない。
この時、佐田啓二は二十歳そこそこのピチピチ、対する絹代はアラフォー。アラフォーな絹代のセーラー服姿はさすがに厳しく、痛々しい。
が、そこはやっぱりアイドル田中絹代です。ちょっとしたしぐさや表情で年齢をカバーし、ちゃんと可愛らしく見せている。気がつくと佐田啓二との並びもほとんど違和感なく見られるというのがすごい。

息子や夫の家族と共に暮す未亡人絹代の姿から話が始まり、そして佐田啓二との出会い~ラブラブ期~別れの回想に入っていく。
とにかく佐田啓二の美男にもほどがある美男っぷりが最高です。さらに女性客のハートを撃ち抜く演出の連続!絹代のコートを脱がせて頭をポンと軽く叩いたり(ウッ)絹代を座らせて両手で顔を優しく包んであげたり(ウッ)絹代のほっぺを人差し指でチョンとつついたり(ウッ)観てるこっちは心臓がいくつあっても足りない。
木下惠介は絶対乙女だよ。女の胸キュンポイントをわかりすぎてるよ…

佐田啓二と幸せ絶頂の中、絹代の父親が突然亡くなる。ショックで取り乱す絹代に「一生離さない」「一生ぼくにしがみついているんだ!」と物凄い名言を放つ佐田啓二もまた、予定よりも招集が早まり、絹代から離れていく。

これは戦争によって引き裂かれる男女の話だけど、心は引き裂かれなどしない。本当に好き合っていれば、ずっと変わらない心があれば、離れていたってたとえ死んでこの世に肉体がなくなってしまったって、ふたりは永遠に一緒なのである。

佐田啓二亡き後の絹代は、佐田啓二の家で、佐田啓二の家族と、佐田啓二との息子と共に暮らしている。傍から見れば、亡くなった旦那さんの実家で小間使いにでも使われているようで、幸せそうには見えないのかもしれない。
それでも絹代は幸せだと言い切る。大好きな人の家族と共に暮らせる喜びがあり、心の中には永遠に変わらない佐田啓二の姿があるのだ。

幸せは人それぞれで、他人がとやかく口出しすることじゃない。
思い出に生きていく幸せだってあるし、本人がそれで幸せと想っていれば、それでいいのだ。

頑なに結婚を反対する佐田啓二の父・小杉勇に対し取り乱し食ってかかる長回しの絹代の気迫は凄まじかった。まるで舞台を観ているかのようでした。この絹代は必見です。

『キミにも僕にもわかっていることは、ふたりの心が永久に変わらないってことだよ』

 

それにしても、『善魔』の時も思ったのだけど木下惠介って人は本当にイケメンを美しく撮るのがうまいし、イケメンが好きだということが画面からひしひしと伝わってくる。笑
学生帽かぶった佐田啓二の横顔はほんとにきれいだったなぁ。