「武士道残酷物語」1963年 日本





1963年
監督:今井正
出演:萬屋錦之介、東野英治郎、岸田今日子、有馬稲子、森雅之、加藤嘉、江原真二郎、西村晃、丘さとみ 他

江戸時代から昭和にかけて、7代に渡り主君に虐げられ続けた錦之介一族のおはなし。
ベルリン国際映画祭金熊賞受賞!

日本に今も蔓延る「武士道」という名の奴隷精神

7代に渡ってここまで痛めつけられるって運がないとしか言い様がないんだけども、萬屋錦之介の七変化は本当に見事で半分はそれを楽しむための映画と言っても過言ではないかと。ひとつの作品の中で、男臭い武士から可愛らしい男子まで7人分しっかり演じ分けるという素晴らしさ。
7人揃いも揃ってこれでもか!っつーくらい、主君たちにボロクソ痛めつけられて顔を歪ませてます。ここまでくると悲劇というより喜劇。

2代目まではまだわかる。わかるというか、まだまともというか。
ところが3代目から一気にぶっ飛び度がグレードアップ。切腹にムスコ切断、妻の有馬稲子が殿様の寵愛を拒否って自殺したり錦之介に子どもを殺させたりとなんでもござれ。

そしてもうひとつの見どころはなんと言っても、錦之介を痛めつける主君たちの特濃キャラです。
特に3話目の変態鬼畜ホモ野郎森雅之(!)、4話目のサイコパス江原真二郎、5話目の痴呆エロジジイ加藤嘉が放つインパクトは強烈。舌をチロチロさせながらニヤつく加藤嘉のあの顔は一度見たら忘れられないことでしょう。ほとんどホラーの域。
加藤嘉エピソードの錦之介はいくらなんでも酷くないかい?丘さとみが可哀想すぎるし、あれ本気で気持ち悪がってただろ。

モリマのホモ殿っぷりは過剰にやりすぎてない感じが逆にリアルで、しかし錦之介を見つめる眼はいつもどおり色気がダダ漏れしているので気持ち悪いのか色っぽいのかどっちなのかよくわかんないことになってます。ふらつく岸田今日子と錦之介を睨みつける時のジメジメした冷たい視線が素晴らしいね。そして岸田今日子も相変わらずホラーしてる。

 

最終話では恋人の三田佳子の自殺未遂をきっかけに、ついに上司の西村晃への忠義よりも自分の意思を優先する錦之介。

「武士道」って言葉は聞こえはかっこいいし海外にもウケがいいんだろうけど、言ってしまえば己を犠牲にしてナンボの奴隷根性みたいなもんで…
最後まで観て思うことは、日本人のこうゆう精神って未だ相変わらずだよなということ。社畜だブラック企業だ過労死だのと言ってる今こそ、この映画を観るべきなのかもしれません。

それにしても、モリマに見つめられながら(笑)ホタルを追う錦之介の動きはしなやかで美しいですね。さすが元女形です。