「悪の愉しさ」1954年 日本





1954年
監督:千葉泰樹
出演:森雅之、伊藤久哉、久我美子、杉葉子、千石規子 他

表向きは平凡なサラリーマン。しかしその裏ではちっちゃな悪事を働くことで人生の愉しみを感じている。
ところがその悪事が度を過ぎ、やがて取り返しのつかないことに…

最初から最後まで救いようがない

GYAOで配信されているものを観ました。
もうこれ、途中で観るのやめようかと思った。あまりにも胸糞悪いもんだから。

トップクレジットは森雅之ですが、主役は当時新人だった伊藤久哉。森雅之の名前を貸した形になってるんですかね。
この伊藤久哉の役がいかにも森雅之がやりそうな感じなんだけど、森雅之は伊藤久哉の幼馴染で土地ブローカーやってて仕事ができていやらしくて女にモテるっていう、こっちもいかにも森雅之な役w手先足先までいやらしさ全開です。演ってる本人もなんだか楽しそう。

杉葉子という美人妻と赤ん坊がいながら、久我ちゃんに手を出している伊藤久哉。
久我ちゃんと不倫するわ未亡人の東郷晴子と同僚の伊豆肇の嫁・千石規子にも手を出すわ、借金踏み倒すわ挙句の果てに金目当てでモリマを絞め殺すわで腹立たしいほどのクズ男っぷり。
悪事を働いて愉しんでる…とはいえ、結果的にはなにひとつうまくやれていない無能っぷり。そのくせ心の中では冷笑的で見下してるってのが滑稽で滑稽で心底イライラする。しかし首締められて殺されるモリマってのもそうそう見れるもんじゃないですね。

間借りしている部屋を出たい杉葉子。土地ブローカーモリマにいい物件を紹介してくれないかと頼み込む。それが縁なのかその前からなのかよくわかんないけど、モリマと杉葉子は不倫の仲に。そりゃこんな無能夫より仕事できてお金もあるモリマのがいいに決まってます。
ふたりの仲を疑った伊藤久哉は弱みにつけこんでモリマから金を取りたいんだけど、決定的な証拠を掴めない。
不倫旅行に出かけた日の杉葉子の服装は水玉のワンピース。その水玉ワンピースが伊藤久哉の前に風でぶわっと出てくる演出の不気味さが素晴らしい。

結局モリマ殺しのアリバイもあっさり見破られ刑務所へ入り(ここはだいぶ早いうちから伏線が張られている)、久我ちゃんに手紙を出すも差し入れられたのは聖書。東郷晴子からの差し入れも聖書。杉葉子は離婚届を役所に出し家を出て行ったらしい。励ましに来てくれた伊豆肇には「口からでまかせばっかり言いやがって」とかなんとか暴言吐いてたけど口からでまかせばっか言ってたのはおまえだろ。

追い詰められた伊藤久哉は衝動的に刑務所の窓から飛び降り自殺してエンドという、最初から最後まで救いようがない話だった。

この伊藤久哉ね、あの終始うらめしそうな顔といい行動といい心の声といい、良いところがひとつもなくてほんっとに観てて気分が悪い。
しかし逮捕後は腹が立つより哀れみの方が勝って、かと言って同情する気には全くならないんだけど、追い詰められて心の奥底に迫っていく様子はなかなか見応えがあった。

死んでも尚、心の声だけは生きてるってのがね。
我慢して最後まで観た甲斐がありました。

それにしてもクラブの女とイチャイチャしてるモリマは楽しそうだな。私もモリマに鼻摘まれてイーってされたい!って思いました。病気か。