「赤い殺意」1964年 日本

サスペンス
1964年
監督:今村昌平
出演:春川ますみ、露口茂、西村晃 他

夫の出張を見送った貞子(春川ますみ)は、後をつけてきた平岡という男(露口茂る)に強盗に入られた挙句、強姦までされてしまう。
最初のうちは平岡に抵抗していた貞子だったが…

一般常識なんてキレイごとはクソくらえ!人間なんてのはこんなもんなんだ!
そうゆう映画です。

今度はネガティブ病弱ストーカー

2時間半という長い尺。
最初から最後までエグさ極まりない人物描写。とてもじゃないがもう一回観ようなんて気にはなりません。
その代わり、一度観たら二度と忘れられない程のインパクトがある。

舞台は仙台。登場人物のほとんどがどぎつい東北なまり。
春川ますみはだいぶぽっちゃりさんで洒落っ気もなく、いつも寝ぼけたような顔をしている。東北なまりに加えゆっくりおっとりボソボソ喋りで無学という設定が強調されてます。
が、そのどこにでもいそうな冴えない風貌のせいで妙なリアルさも醸し出している。あのムチムチ感が時折艶かしく見える。

さて、出張へ行く夫(西村晃)を見送る改札から映画が始まるわけですが、この時点で早速春川ますみは露口さんに目をつけられている。
柱にもたれかかって遠くを見てる(ふりをしてる)露口さんの顔!まあなんと可愛いことよ…若い頃は小動物顔だもんね子犬っぽい可愛さがあるよね。だけどストーカーなんです残念。
「女のみづうみ」では元気な俺様ストーカーしてましたけど…さて今回はどんなストーカーなんでしょうかね。

「女のみづうみ」1966年 日本

2018.02.02

いなくなったと思ったら忘れた頃にやってくる露口さん。「俺はもうじき死ぬんだよぉ」が決まり文句。
どうやら心臓が悪いそうで、そもそもなんで最初に強盗に入ったかって、心臓のお薬代が欲しかったわけで。強盗ついでに春川ますみを強姦したわけです。
しかし春川ますみの何が良かったのかねえ。自分より下っぽい感じの女なら誰でも良かったんだろうか。
最初の強姦を機に、春川ますみをねちっこく追いかけ回します。

春川ますみの夫は喉が弱いのか?病弱そうで嫁に世話してもらってるくせにやたらと偉そうで高圧的。そのくせ床の上では「おかあちゃ〜ん」とか言いながら甘えるという最悪のクソキモ旦那。これを西村晃が演ってて黄門様のイメージ大崩壊。昔は悪役の方が多かったらしいですね。
途中から春川ますみに男の影を感じるようになりますが、そうゆう自分も職場の女と不倫している。相手がこれまたすごい瓶底メガネでいかにもインテリ。西村晃の何が良いんだか全くわからんけどゾッコンなんです。「まさるちゃん(春川ますみの息子)を自分の子どものつもりで育ててみたいの」とか言い出す。怖すぎる。

と、思ったら露口さんは露口さんで「俺、子ども好きなんだよ」「案外懐かれるんだよぉ」とかなんとか言ってやっぱり子どもをダシにして春川ますみを東京へ連れていこうとする。で、拒否されるといつもの「俺は死ぬんだ」攻撃でどいつもこいつもどうしようもない。

この話、最終的には春川ますみと西村晃の立場がほぼ逆転する形になります。
ストーカー露口に追いかけまわされ、ズルズルと不倫関係を続けるうちに「したたか」という強さを身につけていく春川ますみ。瓶底メガネ女に露口さんとのツーショット写真を撮られ西村晃に問い詰められても、平気な顔で嘘をついてみせる。淡々と作り話をしてみせる。
ちなみに瓶底メガネ女は壮絶な最期を迎えます。衝撃で腰が抜けるかと思った。

西村晃と義理母に虐げられてたような生活だったけど、おそらくこの先は春川ますみの天下になるんでしょうな。
不思議なことに、最初あんなに弱々しかった春川ますみが最後にはすごく強そうに、そしてなんとなくキレイに見えるんです。

 

なんだかすごい話なんだけど、好きじゃないですこの映画…

モノクロの中にぼやっと浮かび上がる春川ますみのとぼけ顔はまさにホラー。
部屋に響くような生々しい物音。時折流れるコメディ的な音楽や効果音もかえって不気味に聴こえる。
ヒソヒソ噂話をする年寄りたちの東北なまりが何を言ってるのかわからないほどどぎつい。何を言ってるのか全然わからないから怖いんです。

死のうと思っても死にきれない。
死にたいと言いながらも腹は減る。
もうじき死ぬと言いながら女を強姦する。
人間の「無意識」の中の欲…うーん、なんて言ったら伝わるのかな。本能的な欲、っていうのかな。

人間の弱さ醜さ、女の汚さを見せつけられてるような気持ちになる。
そして、それを納得せざるを得ないわけです。2時間半、しんどいのひと言に尽きる。

DVDはおそらく廃盤になってますがyoutubeビデオでレンタルも購入もできますので、興味のある方はそちらをどうぞ。