「シングルマン」2009年 アメリカ

ラブストーリー
2009年
監督:トム・フォード
出演:コリン・ファース、ジュリアン・ムーア、ニコラス・ホルト 他

1962年、大学教授のコリンは恋人・ジムを亡くして以来、その現実と孤独から逃れられず苦悩する日々を送ってきた。そしてついに自殺を決意し、彼の最期の1日が始まる。

コリン・ファースの爆発的な色気

この色気は何事なんでしょうね…

コリンの色気は今に始まったことではないし若い頃から同性に好かれそうな雰囲気ムンムンであったが(もちろん女性からもモテるだろうが)当の本人がそうとなってしまってはどうしようもないね!
影があって声色から表情から仕草からスーツ姿から終始醸し出す色気は凄まじいものがあった。
素敵すぎて胸が苦しい…!

ということでコリンはゲイの役なんです。
16年間も一緒だった恋人・ジム(もちろん男)を交通事故で亡くしてしまった彼は、それ以来絶望的な日々を送っていた。
冒頭や本編のあちらこちらで、水中の中でもがき苦しむコリンの姿が映し出され、どうしようもない彼の悲しみが伝わってくる。

孤独に苛まれ、生きる気力をなくした彼は死を決意して銃を用意。
最期の1日をスタートさせる。

大学の講義では「恐怖」について大熱弁。
しかしその熱弁っぷりに生徒たちは全くついてこれず全員ポカンで空振りに終わる。
しかしそんなコリンの講義にただひとり、強く惹かれた生徒のニコラスくん。彼はコリン自体にも興味を持ち、コリンを気遣い話しかけてくるのだった。

この最期の1日に、コリンは様々な人と触れ合う。
ニコラスくん、偶然出会った自分と同じ匂いを感じた青年、近所の少女、そしてコリンと同じく孤独を抱えているジュリアン・ムーア。

ジュリアンはコリンの若い頃の恋人だったが、ゲイであるコリンとの関係を続けることはできず結局分かれ、他の男性と結婚し子どもも育て上げたが夫とは離婚した。
愛情を持って育てた子どもも大きくなれば手を離れていき、そしてコリンとの関係に未練を持っていたが当然コリンの気持ちを引き寄せる事はできない。
夜に会う約束をし、一緒に酒を飲みバカな話をして笑い合い、音楽をかけて踊る。ジュリアンは昔の関係に戻ることを期待するが、しかしコリンにその気はない。
そしてお互いの孤独な気持ちをぶつけ合い、別れた。

人と触れ合う事によって、コリンの自殺への決意は揺らぐ。
画面はコリンの孤独と絶望を象徴するかのように色素が薄く、人と触れ合う事によって色素の薄かった画面の彩度が上がりパッと華やぐ。
しかしジムとの事を思い出す度に再び孤独と絶望に襲われ、また色素の薄い画面に戻る。
この映像表現がわかりやすく、素晴らしいとも思った。

ジュリアンと別れて家に戻ったコリンは、身の回りのものをテーブルの上に全て出し、銃を片手にどうやって死のうかあれこれと模索する。
枕の置き方を変えてみたり、シャワールームへ行ってみる、寝袋の中に潜り込んでみる…
だけど決心がつかない。

近所のバーへ酒を買いに行ったコリンは、そこで再びニコラスくんに出会う。彼はコリンが今日1日身辺整理をしているところもしっかり見ていて、彼の住所まで調べていた。
ニコラスくんがここへ現れたのは偶然ではなかったのだ。ストーカ…ゴホゴホ

ニコラスくんには仲の良い女友達がいたものの、恋愛関係までには達して居なかった。
はっきりとは言わないが、つまり彼も、ゲイである、と。
ニコラスくんは「自分が世間とズレている」事に悩み、孤独を抱えていた。

お互いが同じ孤独を抱えていると確信したコリンはニコラスくんの誘いに乗り、近くの海へ泳ぎに行く。
それまでの苦しみを全て吐き出すかのように素っ裸ではしゃぐ姿がとても印象的。
で、はしゃぎすぎて波に飲まれ頭に怪我をする。
年下のニコラスくんに「危なっかしい」とか言われながら介抱されちゃってこれだから可愛いオジサンは困るわね。

コリンはニコラスくんを自宅へ連れていき、傷の手当をしてもらう。
この時、先にシャワーを浴びてきてくださいと言うニコラスくんに「英国人は濡れることに慣れているから大丈夫」と返したコリン。英国人が皆濡れることに慣れているかどうかは不明だがコリンは何かと水場に落とされているので(ダーシー様以降)慣れてるんだろうな。

ニコラスくんとの出会いによって生きていく決意をしたコリンの表情はとっても穏やか。
彼がコリンのそれまでの孤独と絶望を払拭し、それまで見えてこなかった明るい未来を予感させてくれたのだ。

 

ところが…

その矢先、コリンは突然心臓発作に襲われ、そのまま命を絶ってしまう。
倒れているコリンの傍らに、ジムが迎えにやってくる。
コリンの気持ちを穏やかにさせてくれたニコラスくんの出現は、もしかしたらジムからのプレゼントだったのかもしれないね。

 

先にも書きましたが色素の違いでコリンの心情を表現する映像、物悲しげな音楽、そしてコリンの影のある見事な表現力。一人の男の最期の1日を淡々と描いた作品ですが、コリンの心の揺らぎやそれぞれの人物が抱える孤独に共感し、とても惹きつけられる。
結局コリンは死を迎えてしまったわけだけど、それは彼が最初に希望していた「自殺」ではない。
孤独と悲しみと苦しみから解放されて死んでいったコリンの表情を見たら、なんだか私も穏やかな気持ちになった。

しかしなんつってもニコラスくんよ。
アバウト・ア・ボーイのあの子がこんな美青年に成長するとは…おばちゃんビックリ。
最後にはコリンに希望をもたらした存在なわけで、更にこの美貌ですからほんと救いの天使だわね。

あとしつこいようだけどコリンの色気ね!色気!
おなじみの穏やかな眼(私の中ではコリンは英国の眼力王)は健在、やたら裸シーンも多いしシャワーシーンもあるし黒縁眼鏡だしもしかするとコリン出演作の中ではトップレベルの色気かも…

嗚呼、止まらない鼻血。
色気のあるおじさんって素晴らしい。